PoCとMVPは何が違う?具体例や成功のポイントを紹介

新しいビジネスアイデアを形にする際、「PoC」や「MVP」という言葉を耳にすることがあります。
どちらも製品開発の初期段階で使われる手法ですが、その目的や進め方には明確な違いがあります。
本記事では、PoCとMVPの基本的な概念から具体例、それぞれのメリット・デメリット、そして成功のポイントまで詳しく解説していきます。
なお、PoCやMVPの開発には専門的な知識と経験が必要です。
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PoCとMVPの違いは何ですか?
PoCは「技術的に実現可能か」を検証する概念実証で、社内向けに行います。MVPは「市場に受け入れられるか」を検証する最小限の製品で、実際のユーザー向けに提供します。目的と対象が異なる手法です。
MVPにはどんな種類がありますか?
ランディングページMVP、動画MVP、コンシェルジュMVP、プロトタイプMVPなど6種類あります。製品の特性や検証したい内容に応じて使い分け、最小コストで市場の反応を確認できます。
PoC・MVP開発でよくある失敗は?
目的が不明確なまま始める、現場の理解を得ずに進める、完了後の計画がない「PoC死」の3つが代表的です。事前の計画策定と関係者の巻き込みが成功の鍵となります。
PoCとはアイデアが実現可能かを検証すること
PoCは「Proof of Concept(プルーフ・オブ・コンセプト)」の略称で、日本語では「概念実証」と呼ばれます。
新しいアイデアや技術が本当に実現できるのか、技術的な観点から検証する取り組みです。
たとえば、「AIを使って顧客の問い合わせに自動で回答するシステム」というアイデアがあったとします。
このアイデアが技術的に実現可能かどうか、実際に小規模なプロトタイプを作って検証するのがPoCです。
PoCの主な目的は、大規模な投資を行う前に「本当に思い描いているように機能するか」を確認し、開発リスクを最小限に抑えることにあります。
技術的な課題や予想外の問題点を早期に発見できれば、無駄な時間とコストを削減できます。
下記記事では、PoC開発におすすめの会社を、開発会社の選び方やコスト削減の方法とあわせてご紹介しています。
あわせてご覧ください。
PoC開発のおすすめ会社16選!開発会社の選び方やコストを抑える方法も解説
PoCの具体例
実際のビジネスシーンでPoCがどのように活用されているか、いくつかの例をご紹介します。
- 製造業での活用例:工場の生産ラインにIoTセンサーを導入し、機械の故障を事前に予測するシステムのPoC
- 小売業での活用例:店舗内の顧客の動線をカメラで分析し、商品配置を最適化するAIシステムの実現可能性を検証
- 金融業での活用例:ブロックチェーン技術を使った国際送金システムが、既存のシステムと連携できるかを確認
- 医療分野での活用例:画像診断AIが実際の医療現場で使えるレベルの精度を出せるかを検証
これらの例に共通しているのは、本格的な開発や導入の前に「技術的に実現可能か」「既存システムと連携できるか」「期待される効果が得られるか」といった点を小規模で確認している点。

失敗しても損失を最小限に抑えられるため、新しい挑戦がしやすくなります。
MVPとは検証のため必要最低限のプロダクトを作ること

MVP(Minimum Viable Product:ミニマム・バイアブル・プロダクト)は、日本語で「実用最小限の製品」と訳されます。
市場に投入できる最小限の機能を持った製品を素早く作り、実際のユーザーに使ってもらいながら改善していく手法です。
PoCが「技術的に作れるか」を検証するのに対し、MVPは「ユーザーに価値を提供できるか」「市場に受け入れられるか」を検証します。
完璧を目指すのではなく、核となる価値提供に絞って製品化することがポイント。
たとえば、新しい家計簿アプリを開発する場合、最初から全ての機能を実装するのではなく、「収支を記録する」「月別の集計を見る」といった基本機能だけでリリース。ユーザーの反応を見ながら、必要な機能を追加していくのがMVP開発の進め方です。
MVPの最大の特徴は、実際の市場でユーザーからフィードバックを得られること。
机上の空論ではなく、リアルな声を聞きながら製品を改善できるため、ユーザーのニーズに合った製品開発が可能になります。
下記記事ではMVP開発の進め方を解説しています。
あわせてご覧ください。
MVPの主な種類一覧
MVPには様々な形態があり、製品の特性や検証したい内容に応じて使い分けることが重要です。
主な種類を表にまとめました。
MVPの種類 | 概要 | メリット | 適している場面 |
---|---|---|---|
ランディングページMVP | 製品の概要を説明するWebページを作成し、事前登録や問い合わせ数から需要を測定 | ・低コストで実施可能・短期間で結果が得られる・開発前にニーズを確認 | 新しいWebサービスやアプリの需要調査 |
動画MVP | 製品の使用イメージを動画で表現し、視聴者の反応から需要を判断 | ・複雑な機能も視覚的に説明・SNSでの拡散効果・Dropboxの成功事例あり | 革新的な機能や使い方が特徴的な製品 |
コンシェルジュMVP | 自動化予定の機能を人力で提供し、ユーザーニーズを詳細に把握 | ・きめ細かいフィードバック収集・ユーザーの本音を直接聞ける・柔軟な対応が可能 | AIチャットボットやマッチングサービス |
オズの魔法使いMVP | 裏側で人間が操作しながら、ユーザーには自動化されているように見せる | ・技術開発と並行して検証・複雑なシステムの価値を確認・ユーザー体験を損なわない | 高度な自動化システムや推薦エンジン |
プロトタイプMVP | 基本機能のみを実装した簡易版の製品を実際に提供 | ・実際の使用感を確認・具体的な改善点が明確・早期収益化の可能性 | モバイルアプリやSaaSツール |
クラウドファンディングMVP | 製品アイデアをクラウドファンディングで公開し、支援額で需要を測定 | ・資金調達と検証を同時実施・初期顧客の獲得・PR効果も期待できる | ハードウェア製品や革新的なガジェット |
それぞれのMVPには特徴があり、検証したい内容や製品の性質に応じて選択することが成功の鍵。
複数の手法を組み合わせることで、より確実な検証結果を得ることも可能です。
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PoCとMVPの違い

PoCとMVPは、どちらも製品開発の初期段階で活用される手法ですが、その本質的な違いを理解することが重要です。
PoCは「新しいアイデアが実現可能かを検証すること」という幅広い目的を持つのに対し、MVPは「検証のために必要最低限の製品を作る」という具体的な手段を指します。
簡単に言えば、PoCは「できるかどうか」を確認する段階、MVPは「売れるかどうか」を確認する段階。
この違いを理解せずに進めてしまうと、開発チーム内での認識のズレが生じ、プロジェクトの方向性がぶれてしまう可能性があります。
たとえば、音声認識を使った新しいサービスを考えている場合、PoCでは「音声認識技術が必要な精度で動作するか」を検証します。
一方、MVPでは「その音声認識機能を使ったサービスをユーザーが実際に使いたいと思うか」を検証。
技術的に可能でも、ユーザーに価値を提供できなければビジネスとして成立しません。
また、実施時期にも違いがあります。
一般的にはPoCを先に行い、技術的な実現可能性を確認してからMVP開発に進むケースが多いです。
ただし、既存技術を組み合わせる場合など、技術的なリスクが低い場合は、PoCをスキップしてMVPから始めることもあります。
そして検証の対象も異なります。
PoCは主に社内の技術者や経営層に向けて「このアイデアは実現できます」と証明するもの。
対してMVPは、実際の市場やユーザーに向けて「この製品には価値があります」と証明するものです。

PoCとMVPは目的も手段も異なる概念。
プロジェクトの性質や段階に応じて、適切に使い分けることが成功への近道となります。
PoC・MVPを成功させるためのポイント

PoCとMVPは、それぞれ異なる目的と特性を持つため、成功させるためのアプローチも異なります。
ここでは、それぞれを成功に導くための具体的なポイントを解説します。
PoCを成功させるためのポイント
PoCを効果的に実施し、意味のある結果を得るためには、以下の2つのポイントが特に重要です。
1. 実際の環境に近い環境で検証する
理想的な実験環境での検証では、現実とのギャップが生じやすくなります。
たとえば、工場のIoTシステムのPoCを行う場合、実験室ではなく実際の工場の一部で検証することが重要。
騒音、振動、温度変化など、現場特有の条件下でも正常に動作するかを確認できます。
また、実際のデータ量やユーザー数に近い規模で検証することも大切。
「10人なら動いたけど、1000人になったら動かなかった」という失敗を防ぐためにも、できるだけ本番に近い条件でテストを行いましょう。
2. ゴール、達成後の予算、人員などをあらかじめ決めておく
PoCは「概念実証」という性質上、どこまでやれば完了なのかが曖昧になりがち。
事前に明確な成功基準を設定することが不可欠です。
具体的には以下の項目を決めておきます。
- 技術的な達成基準(処理速度、精度、安定性など)
- 検証期間と締切
- 投入する予算の上限
- 必要な人員とその役割分担
- PoC成功後の本開発予算と体制
これらを明文化しておくことで、「いつまでも検証が終わらない」「予算が膨らみ続ける」といった事態を防げます。
MVPを成功させるためのポイント
MVPは実際の市場に投入するため、より慎重な準備と実行が求められます。
以下の3つのポイントを押さえることが成功の鍵となります。
1. 目的をあらかじめチーム全体ですり合わせる
MVPの目的は「ユーザーニーズの検証」なのか「収益モデルの検証」なのか「技術的な実現可能性の最終確認」なのか。
チーム内で認識がバラバラだと、開発の優先順位や判断基準がぶれてしまいます。
キックオフミーティングで全員が同じ認識を持つよう、以下を明確にしましょう。
- なぜMVPを作るのか(背景と目的)
- 何を検証したいのか(仮説)
- どんなユーザーをターゲットにするか
- どのような結果を期待しているか
2. 解決する課題と必要最低限の機能に絞る
「あれもこれも」と機能を追加したくなる気持ちは分かりますが、それではMVPの意味がありません。
ユーザーが抱える最も重要な課題を1つに絞り、それを解決する最小限の機能だけを実装します。
機能の優先順位付けには「MoSCoW分析」が有効です。
- Must have(必須):これがないと価値提供できない機能
- Should have(推奨):あった方が良いが、なくても基本的な価値は提供できる
- Could have(可能なら):余裕があれば実装したい
- Won’t have(今回は不要):今回のMVPでは実装しない
3. 成功と失敗の定義を明確に決めておく
MVPをリリースした後、その結果をどう評価するかを事前に決めておくことが重要。
曖昧な基準では、「なんとなく良かった」「なんとなくダメだった」という主観的な判断になってしまいます。
具体的な数値目標を設定しましょう。
- ユーザー獲得数の目標値
- 継続率やアクティブ率の基準
- ユーザーフィードバックの評価方法
- 収益や課金率の目標(該当する場合)
また、失敗した場合の撤退基準も重要。「3ヶ月で目標の50%に達しなければピボットする」など、感情に流されない判断ができるようにしておきます。

これらのポイントを押さえることで、PoCもMVPも効果的に実施でき、次のステップへの明確な指針を得ることができるでしょう。
下記では、MVP開発におすすめの会社をご紹介しています。
【厳選】MVP開発に本当におすすめな開発会社7選!選び方も解説
PoC・MVP開発でよくある失敗と対策

PoCやMVP開発は、適切に実施すれば大きな成果を生みますが、実際には多くのプロジェクトが失敗に終わっています。
ここでは、よくある失敗パターンとその対策を具体的に解説します。
目的と目標が不明確なまま始めてしまう
「とりあえずPoCをやってみよう」「流行っているからMVPを作ろう」といった曖昧な動機で始めてしまうケースは非常に多く見られます。
目的が不明確だと、プロジェクトは必ず迷走します。
よくある失敗は以下が挙げられます。
- 検証項目が次々と追加され、スコープが肥大化
- チームメンバーがそれぞれ違う方向を向いて作業
- 完了しても「で、これは成功なの?失敗なの?」と判断できない
- 経営層への報告で「何が分かったのか」を説明できない
このような失敗を防ぐため、プロジェクト開始前に「検証計画書」を作成し、以下を明文化しましょう。
- 背景と課題:なぜこのPoCが必要なのか
- 検証したい仮説:「○○すれば△△になるはず」という形で記載
- 成功基準:数値目標や具体的な達成条件
- 検証方法:どのようにして仮説を検証するか
- スケジュール:いつまでに何を完了させるか
この計画書をチーム全員で共有し、定期的に振り返ることで、ブレのない検証が可能になります。
現場からの理解を得ないまま進めてしまう
技術的には成功しても、実際に使う現場の理解や協力が得られず、導入が進まないケースは「PoC成功の罠」とも呼ばれます。
特に業務改善系のプロジェクトで頻発する問題です。
典型的な失敗例には以下があります。
- 工場の生産性向上システムを開発したが、現場作業員が「今のやり方で十分」と拒否
- 営業支援ツールを作ったが、営業担当者が「入力が面倒」と使わない
- 新しい在庫管理システムが、倉庫スタッフの業務フローと合わず放置される
これらの失敗を防ぐには、下記のようにプロジェクトの初期段階から現場を巻き込む仕組みを作りましょう。
- 現場ヒアリングの実施
- 実際の業務フローを観察し、課題を直接聞く
- 現場メンバーをプロジェクトチームに加える
- 週1回でも良いので、現場の代表者に参加してもらう。
- フィードバックを随時もらい、軌道修正する
- 段階的な導入計画
- いきなり全面導入ではなく、協力的な部署から試験導入
- メリットの見える化
- 「作業時間が○%削減」など、現場にとってのメリットを数値で示す。
- 導入後のサポート体制も明確にする
PoC後の計画が不明瞭
「とりあえずPoCをやってみて、上手くいったら本格開発を考えよう」という姿勢では、せっかくの成果が無駄になってしまいます。
この状態は「PoC死」とも呼ばれ、多くの企業が陥る典型的な失敗パターンです。
「PoC死」の典型的な流れは下記です。
- PoCは技術的に成功し、良い結果が得られた
- しかし、次のステップの予算が確保されていない
- 本格開発のための人員もアサインされていない
- 結果、レポートだけが残り、実際の製品化は進まない
- 数ヶ月後には「あのPoCどうなった?」状態に
このような失敗を防ぐ対策として、 PoCを始める前に成功した場合と失敗した場合の両方のシナリオを準備しておきます。
- 段階的な承認プロセスの設計
- PoC開始時に「成功したら次は○○をする」と決めておく。
- 予算承認のタイミングと必要な手続きを明確化する。
- リソース計画の事前策定
- PoC成功後に必要な人員をリストアップ。
- 可能であれば、仮のアサインも済ませておく。
- Go/No-Goの判断基準
- 「この条件を満たしたら本格開発に進む」という基準を設定。
- 判断を下す責任者と期限を明確にする。
- 継続的な関係者への報告
- PoCの進捗を定期的に経営層や関係部署に共有。
- 成功の兆しが見えたら、早めに次のステップの準備を始める。
これらの対策を実施することで、PoCやMVPの成果を無駄にすることなく、次のフェーズへスムーズに移行できます。失敗を恐れず、しかし同じ失敗を繰り返さないよう、過去の教訓を活かしながらプロジェクトを進めていきましょう。
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