ノーコードでできないこと・欠点は?対策や解決方法を解説
近年、プログラミング知識がなくてもアプリやWebサイトを開発できる「ノーコード」が注目を集めています。しかし、「ノーコードって本当に何でもできるの?」「実際の開発で困ることはないの?」と疑問を感じている方も多いでしょう。
確かにノーコードには制限や欠点が存在します。
ただし、これらの課題は適切な対策を講じることで解決可能。実際、多くの企業がノーコードを活用して成功を収めています。
本記事では、ノーコードでできないことや主要な欠点を詳しく解説。さらに、それらを解決するための具体的な対策もご紹介します。
EPICs株式会社では、日本最大級の実績を持つノーコード開発会社として、複雑な開発案件でも失敗確率を抑えた対応が可能です。
複数のノーコードツールに対応しているため、開発したいサービスに最適なツールを選択し、費用・開発期間の大幅削減を実現しています。
ノーコードでできないことは何?
高度なロジック実装、大規模システム、詳細なSEO対策、3D表現、完全リアルタイム処理、サーバー選択などが困難。ただし一般的なWebサービスやアプリで必要な機能の8割以上は実装可能。
ノーコードの制限にはどう対処すればいい?
①柔軟性の高いツール選択②外部サービス連携による代替実装③ローコード開発への移行④MVPのみノーコードで開発し後に本格開発、の4つの対策で多くの制限を解決できる。
制限が少ないノーコードツールはある?
A. BubbleやFlutterFlow(ローコード)なら従来ツールより大幅に制限が少ない。Bubbleは複雑なWebアプリ、FlutterFlowは高性能モバイルアプリの開発が可能。
【結論】ノーコードの制限はツールにより異なる
ほとんどの開発は対応可能
ノーコード開発について「できないことが多い」というイメージを持つ方もいますが、実際にはほとんどの開発案件でノーコードが最適解となります。
現在のノーコードツールは非常に高機能。ECサイト、予約システム、会員管理システム、マッチングアプリなど、ビジネスで必要とされる主要な機能はほぼすべて実装できます。また、外部サービスとの連携機能も充実しており、既存システムとの統合も可能です。
重要なのは「開発したいサービスの要件に適したノーコードツールを選択すること」。例えば、モバイルアプリ開発に特化したツール、Webサイト制作に強いツール、業務システム構築に適したツールなど、それぞれ得意分野が異なります。
適切なツール選択により、従来のプログラミング開発と遜色ない品質のサービスを、より短期間かつ低コストで実現できるのです。
確かにノーコードには一定の制限がありますが、多くの場合、これらの制限がビジネスに重大な影響を与えることはありません。
【機能面】ノーコードではできないこと
ノーコード開発において機能面で制限となる主な項目は以下の通りです。
- 高度なロジックの実装
- 大規模なアプリ
- システム
- 基本以上のSEO対策
- 一部の外部APIの利用
- 完全リアルタイムの処理
- サーバー
- データベースの自由選択
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高度なロジックの実装
ノーコードツールでは、複雑なビジネスロジックや独自アルゴリズムの実装が困難です。
例えば、AIによる画像認識機能、独自の推薦システム、複雑な在庫管理アルゴリズムなどは実装できません。ノーコードツールは事前に用意されたパーツを組み合わせる仕組みのため、完全にオリジナルな処理を作ることは不可能です。
ただし、多くのビジネスで必要とされる基本的な条件分岐(「会員なら割引価格を表示」「在庫がなければ販売停止」など)は問題なく実装可能。

一般的なWebサービスやアプリで求められるロジックの8割以上はノーコードで対応できます。
大規模なアプリ・システム
ユーザー数が数万人を超えるような大規模なシステムの構築はノーコードでは困難になります。
Amazonのようなプラットフォームや、数百万人が同時利用するSNSアプリなどは、ノーコードツールでは技術的な制約があります。これは主にパフォーマンスの問題と、複雑性の管理が困難になるため。
しかし、中小企業や個人事業主が運営するサービスであれば、ノーコードで十分対応可能です。実際に数千人規模のユーザーを抱えるサービスがノーコードで成功している事例も多数存在します。
基本以上のSEO対策
ノーコードツールの多くは、詳細なSEO設定に制限があります。
HTMLの構造を細かく調整したり、表示速度を最適化したり、検索エンジン向けの高度な設定を行うことが難しいのが現状。そのため、SEOで競合が激しいキーワードでの上位表示は困難になることがあります。
ただし、基本的なSEO対策(タイトル設定、メタディスクリプション、画像のalt属性など)は多くのノーコードツールで対応済み。また、WordPressなどのCMSと組み合わせることで、SEO対策を強化する方法もあります。
一部の外部APIの利用
すべての外部API(他のサービスとの連携機能)に対応しているわけではありません。
特に新しいサービスや専門的なAPIは、ノーコードツールが対応していない場合があります。また、APIの詳細な設定やカスタマイズが必要な場合も制限を受けることがあります。
とはいえ、主要なサービス(Google、Facebook、Stripe、Slackなど)との連携は多くのノーコードツールでサポート済み。ビジネスで必要な連携の大部分は実現できるでしょう。
完全リアルタイムの処理
ミリ秒単位での高速処理が求められるアプリケーションはノーコードでは実現困難です。
株取引システムのような超高速処理や、工場の制御システムなど、リアルタイム性が重要なシステムには不向きになります。
ゲームは厳しいことが多い
特にゲーム開発では、リアルタイム性と複雑なロジックの両方が求められるため、ノーコードでの実装は困難なケースが多くなります。
簡単なパズルゲームやクイズアプリ程度であれば可能ですが、アクションゲームやRPGのような本格的なゲームは従来の開発手法が適しているでしょう。
サーバー・データベースの自由選択
ノーコードツールでは、サーバーやデータベースの選択権がユーザーにありません。
すべてツール提供会社が管理するインフラを使用することになるため、特定のサーバー環境やデータベースを指定することは不可能です。また、サーバーの詳細設定やセキュリティポリシーの細かな調整もできません。
ただし、多くの場合、提供されるインフラは十分な性能とセキュリティを備えています。特別な理由がない限り、この制限がビジネスに影響することは少ないでしょう。
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【デザイン面】ノーコードではできないこと

デザイン面でノーコードが苦手とする主な領域は以下の通りです。
- レイアウトのフルカスタマイズ
- 3Dモデルの描画
- 複雑なアニメーション
各項目について詳しく解説していきます。
レイアウトのフルカスタマイズ
ノーコードツールでは、完全にオリジナルなデザインやレイアウトの実装が制限される場合が多くなります。
従来のWeb開発であれば、CSSを自由に記述してピクセル単位での調整が可能ですが、ノーコードツールは事前に用意されたテンプレートやデザインパーツを組み合わせる仕組み。そのため、デザイナーが作成した細かなデザインカンプを完全に再現することは困難です。
具体例として、独特な形状のボタンや、特殊な配置のメニューバー、ブランドに特化したユニークなレイアウトなどは実装できません。
ただし、現代のノーコードツールは非常に多様なデザインオプションを提供しており、多くのビジネスニーズには十分対応可能。また、テンプレートのクオリティも年々向上しているため、プロ級のデザインを簡単に実現できるようになっています。
3Dモデルの描画
3Dグラフィックスや立体的な表現は、ほとんどのノーコードツールで対応していません。
建築関連のサービスで建物の3Dモデルを表示したり、EC サイトで商品を360度回転させて表示したり、VR・AR機能を実装したりすることは基本的に不可能です。これらの機能には専門的な3Dライブラリやエンジンが必要になるため。
もし3D表現が必要な場合は、外部の3Dビューアーサービスを埋め込む形での対応が現実的。ただし、完全な統合やカスタマイズは期待できません。
複雑なアニメーション
高度なアニメーション効果や動的なビジュアル表現の実装には限界があります。
例えば、マウスの動きに連動して変化するパーティクル効果、複数の要素が連鎖的に動くアニメーション、物理演算を伴う動きなどは実装困難。また、アニメーションのタイミングや速度の細かな調整も制限されます。
ノーコードツールで実装できるのは、フェードイン・フェードアウト、スライド表示、簡単なホバーエフェクトなど、基本的なアニメーションに留まります。
とはいえ、一般的なWebサイトやアプリで必要とされるアニメーションの大部分は実装可能。ユーザーエクスペリエンスを向上させる程度のアニメーションであれば、ノーコードでも十分対応できるでしょう。
制限が少ないノーコードツール

ノーコード・ローコードツールの中でも、特に制限が少なく高機能な開発が可能なツールをご紹介します。
- Bubble
- FlutterFlow(ローコード)
これらのツールは従来のノーコードツールの制限を大幅に緩和し、より高度な開発を実現できます。
Bubble
Bubbleは、ノーコードツールの中でも特に自由度が高く、複雑なWebアプリケーションの開発が可能なプラットフォームです。
多くのノーコードツールがテンプレート型の開発に留まる中、Bubbleはビジュアルプログラミングによる本格的な開発環境を提供。データベース設計から複雑なワークフロー、高度なユーザー管理まで、従来のプログラミングに近い柔軟性を実現しています。
具体的にできることとして、カスタムAPI の作成、外部データベースとの連携、複雑な条件分岐の実装、リアルタイム機能の構築などが挙げられます。実際に、SaaS サービスやマーケットプレイス、SNS アプリなど、本格的なWebサービスが多数Bubbleで開発されています。
ただし、高機能である反面、学習コストは他のノーコードツールより高め。また、3D表現や高速なリアルタイム処理など、一部の制限は残っています。

それでも、ノーコードツールとしては最も「できないこと」が少ないツールの一つといえるでしょう。
FlutterFlow(ローコード)
FlutterFlowは、Googleが開発したFlutterフレームワークを基盤とするローコードプラットフォームです。
ローコードツールのため、必要に応じてカスタムコードの記述が可能。これにより、ノーコードツールでは実現困難な高度な機能や細かなカスタマイズを実装できます。特にモバイルアプリ開発において、ネイティブアプリ並みの性能とユーザーエクスペリエンスを実現可能です。
FlutterFlowの大きな特徴は、iOS・Android両方に対応したクロスプラットフォーム開発ができること。一度の開発で両OS向けアプリを同時にリリースでき、開発効率が大幅に向上します。また、Flutterの豊富なライブラリを活用できるため、カメラ機能、位置情報、プッシュ通知など、モバイルアプリに必要な機能のほとんどを実装可能です。
ただし、ローコードツールであるため、高度なカスタマイズを行う際は一定のプログラミング知識が必要になります。完全なノーコードではありませんが、その分制限が少なく、本格的なアプリ開発が可能になっているのです。
これらのツールを活用することで、従来のノーコード開発では困難だった要件にも対応でき、より幅広いプロジェクトでノーコード・ローコード開発のメリットを享受できるでしょう。
ノーコードのアプリについては下記記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ノーコード開発アプリおすすめ11選|選び方と作成事例について
ノーコードでできないことへの対策

ノーコードの制限に直面した際の対策方法は以下の通りです。
- 対策1. 柔軟性の高いツールを選ぶ
- 対策2. なんとか実装する方法を考える
- 対策3. ローコード開発に切り替える
- 対策4. MVPだけノーコードで開発する
具体的な対策を順番に解説していきます。
対策1. 柔軟性の高いツールを選ぶ
より高機能なノーコードツールへの切り替えを検討しましょう。
先ほど紹介したBubbleのような高機能ツールであれば、一般的なノーコードツールでは実現困難な機能も実装可能です。また、各ツールには得意分野があるため、開発したいサービスの要件に最も適したツールを選択することが重要になります。
例えば、EC機能が必要ならShopify、データベース中心のアプリならAirtable、モバイルアプリならAdaloやGlideなど、目的に応じた最適なツール選択により多くの制限を回避できるでしょう。
ツール選択の際は、機能要件だけでなく、将来的な拡張性や他サービスとの連携可能性も考慮することが大切です。
対策2. なんとか実装する方法を考える
既存機能の組み合わせや外部サービスとの連携により、一見実現困難な機能を実装する方法を模索します。
例えば、高度な計算処理が必要な場合は、Google Apps ScriptやZapierなどの外部ツールと連携して処理を分担させる方法があります。また、複雑なデザインが必要な場合は、画像として作成した要素を埋め込むことで視覚的な問題を解決可能です。
3D表現が必要なケースでは、Sketchfabなどの3Dビューアーサービスを iframe で埋め込む方法も。完璧ではありませんが、ユーザーのニーズは満たせるでしょう。
重要なのは「完璧を求めず、80%の満足度を目指す」という発想の転換。
多くの場合、代替手段でも十分にビジネス目標を達成できます。
対策3. ローコード開発に切り替える
ノーコードからローコード開発への移行を検討しましょう。
ローコード開発では、必要に応じてカスタムコードの記述が可能になるため、ノーコードの制限を大幅に緩和できます。OutSystems、Microsoft Power Platform、Mendixなどのローコードプラットフォームは、ノーコードの開発速度を保ちながら、より高度な機能実装を実現可能です。
ただし、ローコード開発には一定のプログラミング知識が必要。社内にエンジニアがいない場合は、外部パートナーとの協力や新たな人材確保が必要になる場合があります。

コストと開発期間のバランスを考慮し、プロジェクトの要件に応じて適切な選択を行うことが重要です。
対策4. MVPだけノーコードで開発する
MVP(最小限の機能を持つ製品)の開発にノーコードを活用し、市場検証後に本格開発に移行する戦略です。
この手法では、まずノーコードで基本機能のみを実装してサービスをリリース。ユーザーからのフィードバックを収集し、市場での需要を確認した後に、必要に応じて従来の開発手法で機能拡張を行います。
メリットとして、初期投資を大幅に抑制できること、市場リスクを最小化できること、ユーザーニーズを早期に把握できることが挙げられます。実際に多くのスタートアップがこの手法で成功しており、Instagram、Airbnb、Uberなども初期はシンプルな機能から始まっています。
ノーコードでMVPを開発する際は、「完璧な機能」よりも「価値提供の核心部分」に焦点を当てることが成功の鍵。
市場の反応を見ながら段階的に機能を拡張していけば、最終的により良いサービスを構築できるでしょう。
1からの開発も、途中からの開発も、お気軽にEPICsにご相談ください!